金 榮安 青木 謙介
日経BP社 (2006/04/27)
サムスングループの強さの源泉である”人材”について取り扱った本です.筆者の方は元サムスンマンで金融関係の業務を担当されていたそうです.サムスンというとサムスン電子がまず思い浮かびますがこの本はサムスン電子だけでなくグループ全体の人材戦略を取り上げています.
サムスンの人材戦略は事業の核となる”超”優秀な人材を世界中を探して捜索し,3顧の礼を尽くして入社してもらい,成果には報酬で報いるのが基本線です.さらに社内の人材が育つよう社内教育にも相当額を費やしていると本にはありました.報酬は基本的にお金で,飛び抜けた成績を上げた者には抜擢昇進で役員にし,常に優秀な人材が役員にとどまるよう入れ替えを頻繁に行うのが韓国流のようです.
優秀な人材をスカウトしてくる企業の例としてこの本ではマイクロソフトを挙げていました.最近ではGoogelなんかもこの部類に入るんでしょう.逆に社内教育を重視して人材を育てる企業の例にはGE,トヨタ自動車が挙げられていました.サムスンは前者に数えられる企業です.どちらがよいのかは難しい問題ですがサムスンに興味を持っている人(要するに働きたいと思っている人)はこの本に書かれている内容を知っておいた方がいいなと思いました.
サムスンが取り組んでいる面白い社内制度に”地域専門家制度”というのがあります.これは2年ほど中堅社員を世界の各地に派遣し,その地域について調査させるものです.派遣中は通常の勤務は無しで語学を取得したり,その国の文化や現状を調査してサムスンの社内ネットで報告するのが仕事になります.地域専門家を各地に派遣することで生の情報を多く仕入れることが出来,実際にその地域に人を派遣するときもその地域に慣れ親しんだ人がいるのでスムーズに事が運ぶと行ったメリットが述べられていました.
内容は興味深いのですが,訳の日本語が若干読みにくかったのが残念です.